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(有)森田 建具
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2016年05月21日

組子障子 雲龍 製作ウラ話⑥

さて組子障子 雲竜 製作ウラ話⑥。

やっとやっと最終回。

①が2012年の9/3日投稿なので足掛け4年です。(途中ブログ氷河期があり)

展示会へ出品するための発送期限も迫ってきていたので焦る。
その気持ちとは裏腹に進まない作業・・・。

ひたすら削ってはめての繰り返し。葉鉋での切削で背中の肩甲骨の下あたりに激痛が走り
無理な態勢での小さい部材のはめ込み作業で目、肩、腰もボロボロ。

一日どれだけ進んだかで逆算してみると全然間に合わない・・・。
これはやるしかないと、朝7時から夜の10時までの作業時間を
朝6時頃から夜中の2時頃までに延長。
三度の飯とお風呂の時間以外はずーと作業・・・。

そんなある日、姉がちょっとやらせてというのでやらせてみると
麻の葉を入れるのがめちゃくちゃ上手!!
当時高校生の姪っ子もやってみるとこれまた上手!
職人さんでさえ慣れてないからできないという仕事をさくさくとこなす二人。

そこから看護師の姉は仕事終わりも、休みの日もつぶして手伝ってくれました。
姪っ子もテスト期間なのにもかかわらず夜中までずっとやってくれました。
最後には「私、組子いれるの叔父より上手い!」って言ってました。
この二人がいなければ期限内に完成はできなかったでしょう。
姉ちゃん、姪っ子ほんとにありがとう!!

全てのコマを組子で埋めて工場に持っていって全体像を確認。


一枚目と二枚目の龍の胴体の連続性がないのと富士山の影がいまいち
良くない。それを修正することに。


修正後

家族みんなが自分を助け、応援してくれたおかげでやっとの思いで出荷予定日に完成して無事に発送できました。

組子作品は本当に自分の命を削り身を粉にしていろいろなものを犠牲にして製作しているんだとあらためて実感。

ここから一年ちょっと、組子のことを考えたくもない、見たくもない、部材を触りたくもないという

組子氷河期が訪れました。あまりにも細かい部材で長期にわたる製作をした結果でしょうか。
  

Posted by 組子職人  at 16:43Comments(0)組子障子 雲龍 製作ウラ話

2016年03月21日

組子障子 雲龍 製作ウラ話⑤

さて組子障子 雲竜 製作ウラ話⑤です。

前回やっとレイアウトがまとまりました。

顔の影をウェンジで濃くして、遠近感を意識してパーツの大きさを変更。
手にもウェンジで縁取りをほどこして立体感と迫力を出しました。



胴体をどうしようか考えながら胴体も神代杉で縁どり、付子をつけるために
四方を導突き鋸と定規で切り回します。

※付子をまわすタイミングですが、完全に自己流なので良い子のみなさんはマネしないようにお願いします。



しっかり定規を固定してまっすぐ、垂直に切り回します。
この作業が一番神経を使う作業・・・。
毎回ある作業工程なのですがなかなか慣れない・・・。毎回緊張します。




胴体も完成し付子を回し終わったところ。なるべく無理のない態勢で作業するために
工場の二階の実家の一室を組子部屋にしてあとは空いたコマを麻の葉で埋めるだけっ!

と思ったのですが…。地獄が待っていました・・・。

麻の葉鉋で麻の葉のパーツを削るのですがなんと・・・。
同じ大きさのパーツでもちゃんとピッタリはまるところ、きつすぎるところ、緩いところがあったんです・・・(涙)

地組はしっかり切込みのセンターを出したつもりだし、なんだこれは!?と一瞬パニック・・・。

考えられる原因としては地組の切込みのズレか、麻の葉以外の組子がちょっとづづ地組を押してしまっているのか、
湿度の変化による不具合か・・・。

地組を組んでから梅雨を通り越して、この時点で6月下旬。いろんな原因が積み重なってなったのだろうか??

苦肉の策として標準パーツ、少し短いパーツ、少し長いパーツ三種類分けて加工しそれぞれ組み合わせることに。

三本入れてみて途中できつく感じたら一本を短いパーツにしてはめる、途中で緩く感じたら一本を長いパーツにしてはめる。

スピードが全然上がらない・・・・・。(汗) 地獄のはじまりです・・・。






  

Posted by 組子職人  at 17:10Comments(0)組子障子 雲龍 製作ウラ話

2015年11月05日

組子障子 雲龍 製作ウラ話④

さて、組子障子 雲竜 製作ウラ話④

レイアウトを考えることから先に進まないため、取りあえず組子をはめてみることに。



龍の顔、龍の体を取り巻く雲、そして龍の手。自分の感覚のみでやっています。

組子を少しはめては、遠くから眺める。気に入らないところは全部はずし、
組子の柄や樹種を変えてみる、そしてまた遠くから眺める。
足りない部材を加工し調整する。
ずーとその工程を繰り返します・・・。何が正解なのかわからない。終わりが見えない。



この写真は龍の顔のアップですが髭の部分はヒバ(薄黄色)、口の中はテンポナシ(赤茶)、
歯、牙、目の部分は檜(白)、顔はホウ(薄緑)、影は神代杉(灰色)で表現しています。

しかし、ホウと神代杉の色の差が分かりづらく、もっと色の黒い木を発注。

木が届くまでは別の場所を進めることに。

木が届き、加工し、影の神代杉の部分を全部取り外ずし、はめてみたのが下の写真



この黒い材料はウェンジといってアフリカ産のものです。
発色はいいんですが、硬すぎて加工は大変でした。
0.8mm厚に薄く削ると途中で折れたり、厚みが均等にならなかったり、
葉鉋もすぐに切れやむ・・・。材料を見る目も技術だと再認識。

当たり前ですが、影の色を変えるだけでのっぺりとした印象から立体的な顔に。

鼻の穴、髭の遠近感がない。遠くにあるはずのものが同じ大きさ、あるいは大きくなってしまっている。



龍を取り巻く雲を二重に変更し、胴体を作りはじめた所。
やっと全体的なレイアウトがまとまりつつあります。










  

Posted by 組子職人  at 10:18Comments(0)組子障子 雲龍 製作ウラ話

2015年10月28日

組子障子 雲龍 製作ウラ話③

3年前の記事の続きです。

1⃣は地組の加工から組み立てまで、2⃣は富士山とその周りの雲の表現のところまで。

さて富士山と雲を作った後、今度は月に取り掛かりました。

この時は組子を円形に切り抜く技術がなかったため、円をどうやって表現するか
というのが課題でした。



組子の地組は正三角形の集まりなのでやはり直線的ですが組子の材料を変化させ
遠くから見ると丸に見えるように考えて製作しました。

三角形の中でも背景と同じ色と月の色、二種類の材料を使うことで
滑らかな円形が表現できたんじゃないかと思います。

背景は麻の葉というポピュラーな柄を使用しました。
組子は材料の色(背景と月)と、柄の密度の違い(雲は背景よりも密度が高い)で表現します。

続いて、バランスを見るために龍の顔にとりかかりました。



ざっくりとしたレイアウトがあったのですが上手くいかず、雲の渦を作ってみたり、龍の流れを考えてみたり・・・。
迷走に迷走を重ねました。苦肉の策でテープでレイアウトを、紙をきり雲の流れを考えているところです。

前進しないもどかしさと辛さを思い出してきました。描けるものなら図面はあった方が仕事が早いと思います。



  

Posted by 組子職人  at 17:45Comments(2)組子障子 雲龍 製作ウラ話

2012年09月15日

組子障子 雲龍 製作ウラ話②

前回は地組みを組むときのお話まで。地組みについてはこちら

地組みを組み終わってからまず縁取りから取り掛かりました。

作品のザックリとしたレイアウトがあったのですが、変更のない周りの縁取りから始めるのが
無難だろうという考えがあったからです。

岐阜大会の時と同様、自分で考えたオリジナルの光麻の葉を地組み切込みを入れてつなぐ
光麻の葉つなぎという模様です。

使った材料は米ヒバ(薄黄色)、テンポナシ(赤茶)、神代杉(灰色)、ホウノキ(薄緑)、パープルハート(紫)です。



部材の角度の加工は全て葉鉋という組子専用の鉋で加工しました。詳しくはこちら

数を計算していたのですがいくら削ってもどれだけ削ってもまだ足りずホントに大変でした。
一日中、葉鉋を握って加工をしていると必ず肩甲骨の下の辺りがとても痛くなります・・・。

部材の数が多いとそれを組み立て、地組みにはめ込むのにもかなりの時間を要します。
今日はいっぱい加工したなーといいながら組み立ててはめ込んでみるとまだこれだけ!?というのがしばしば。
縁取りの完成後には組子の通りを直したり、少しいびつな物を取り替えたりしました。

やっとの思いで縁取りのを完成させた後は赤富士に取り掛かりました。
赤茶色のテンポナシを多用し八重桜亀甲という柄で表現しました。詳しくはこちら

八重桜亀甲は9つの部材で構成されています。

小さい部材ですが、切り込みも入れてちゃんと角度も削っています。

部材が小さく数が多いのでやってもやっても手ごたえがなくかなり大変でした。



影の部分は神代杉で表現しました。同じ柄でも硬い木でするのと柔らかい木でやるのでは違いがあるので少々調整が必要でした。

次は赤富士にかかる雲に取り掛かりました。曲げの麻の葉で雲の柔らかさを表現しようと思い取り掛かりました。
やってみると全然柔らかさが表現できてない・・・。

雲の部分を全部取り外すことになろうとは・・・。

岐阜大会で渡辺さんが製作した「湧雲」を思い出して研究しました。(良ちゃんブログ拝借します)
研究っていえばかっこいいんですが、単に真似をしただけなんですけど・・・。




組子で絵画的表現をするのは難しいです。ここにくるまでに気に入らないところははずして何度も
樹種をかえたり、柄を変えたりしています。図面上ではわからないことのひとつですね。

つづく  

Posted by 組子職人  at 17:52Comments(0)組子障子 雲龍 製作ウラ話

2012年09月03日

組子障子 雲龍 製作ウラ話①

一ヶ月休みなし!
やっと現場も終わり昨日が一ヶ月ぶりの休日でした!

ブログをかく暇もなし!!

さて組子障子 雲竜 製作ウラ話。

今回、出品すると決めたときになるべく細い材料を使い

できるだけ部材を細かくしようとそして総理大臣賞を狙っていこうと決意しました。

材料は0.8mmにそして切り込みのピッチは16mmに決定しました。

題材は今年の干支の辰、そして縁起のいい赤富士。

JWCADでザックリとしたレイアウトを描き製作に取り掛かりました。

木取りをして全部並べて材料の選別。同じ樹種でも同じ一本の木でも場所によって微妙に色が違うので

なるべく色を揃えるのが目的です。選別した材料の厚みをきめるのは飯田工業さんのミニフォルテFX-120

という小さい自動カンナ盤です。この機械は組子の師匠である有村先生に頂いた物です。

1/100のデジタルノギスを使って誤差±0.02で加工することが出来ました。

0.8mmの材料は切り込みを入れるのもホントに大変でした。縦の材料は16mmのピッチで102箇所。

絶えず修正作業を繰り返してなんとか切り込み作業終了。かなり時間がかかりました。

地組みを組むのもかなり大変でした。組んでる途中に何度か気持ち悪くなりました・・・。

組子を組むときに使う当て木の音と細かい三角形で眼が回りそうになったのが原因でしょうか。


  

Posted by 組子職人  at 11:34Comments(0)組子障子 雲龍 製作ウラ話